IoTデバイスの種類について! 活用事例や将来予測について解説
現在、「AI」と並び注目を集めているITトレンドとして「IoT」が挙げられます。IoTデバイス(IoT機器)は人々の暮らしに大きな変化をもたらす技術として注目されており、日本政府が掲げている超スマート社会を実現するうえで肝となる技術となります。
しかし、具体的にどのようなIoTデバイスがあるのか等を正しく理解している方は少ないのではないでしょうか。
本記事では、各種IoTデバイスの活用事例や将来予測について解説します。
目次[非表示]
- 1.IoTデバイスとは
- 1.1.IoTデバイスの活用で何が変わるのか
- 1.2.IoTデバイスの活用事例
- 2.IoTデバイスの主な種類と使用用途
- 3.IoTデバイスの市況と予測
- 4.まとめ
IoTデバイスとは
そもそもIoTデバイスのIoT(Internet of Things、モノのインターネット)とは、NTTコミュニケーションズによると、あらゆるモノをインターネットあるいはネットワークに接続する技術のことであるといいます。
IoTデバイスとは「モノのインターネット」の「モノ」のことであり、すでにインターネットに接続されるモノは、スマートフォンやタブレットをはじめ身近に数多く存在しています。IoTのネットワークに接続する機器がIoTデバイスであり、その例としてはインターネット上のコンテンツも含めて視聴できるテレビ、音楽配信サービスも利用できるスマートスピーカー、リモート操作可能な家電や照明、そしてインターネット経由で映像を確認することができる監視カメラなどが挙げられます。
IoTデバイスの活用で何が変わるのか
IoTデバイス活用において、切っても切れない概念として「Society5.0」と「超スマート社会」の2つが挙げられます。
Society5.0とは超スマート社会を実現させるための取り組みであり、内閣府によると「仮想空間であるサイバー空間と現実空間であるフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会を実現する施策」のことを差します。
超スマート社会とは、内閣府によると「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細やかに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な制約を乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」のことを指します。
つまり、超スマート社会の実現に向け、サイバー空間とフィジカル空間のシステムが分野や地域を越えて結び付き、人間の行動データ、交通データ、環境観測データ、農作物などの生産・流通データ等の大量のデータ(ビッグデータ)を収集・解析し、横断的に活用することが可能となるSociety5.0をまずは実現することが重要となります。
実際にビックデータを収集するためには、各分野横断かつ全国規模でのIoTデバイスの設置が必要となりますので、IoTデバイスの活用がSociety5.0と超スマート社会の実現を左右すると言っても過言ではないと考えられます。
IoTデバイスの活用事例
IoTデバイスの活用事例としては、大きくモニタリング、予防・予知保全、データ連携、そして遠隔制御が挙げられます。
1.モニタリング
IoT機器に装備されているセンサーを活用すれば、温度や騒音、人・物の動き、環境などさまざまなデータをリアルタイムで収集可能になります。たとえば冷蔵庫・冷凍庫の温度やダムの水量といった常時監視しなくてはいけないものも、インターネットさえあれば時間も場所も問わずにモニタリングが可能になります。
また、カメラにセンサーを取り付けることにより、人や物の動きをモニタリングして集中している箇所を発見することや、配置の悪さによる効率性低下を発見することも可能になります。
そのほかにも、トラブル発生時にメールで管理者へ通知するなどの監視業務も、インターネット常時接続のIoTデバイスで置き換えることが可能になり、人件費やリソースの軽減に繋がります。
2.予防・予知保全
公共のインフラに対する予防・予知保全のためのIoTデバイス活用が可能になります。これにより、橋やトンネルなどの老朽化・崩落の危険性を予知し、事前対応を行うことで、道路などの陥没による渋滞や事故の原因を無くしつつ、定期メンテナンスに伴う工数や高スキル人材等のコストや時間の軽減につながります。
自動で老朽化を判定する仕組みを備えたIoT機器設置により、点検のための膨大な時間や人件費が不要となるのみならず、老朽箇所の早期発見を、危険な場所に人が立ち入ることなく、安全にできるようになります。
3.データ連携
IoTデバイスによって収集したビックデータを、解析すれば事業活動に役立てることも可能になります。商品売上とカメラに映る顧客の動きの連携を例にした場合、ディスプレイによる売れ筋商品を特定するのみならず、「どの客層が、どの商品を手に取りやすいか」といった統計情報を得ることも可能になります。このようなデータ連携により、性別や年齢層に合わせた商品の最適なレイアウトを導き出す等の活用可能性が大きく広がると考えられます。
4.遠隔制御
インターネット常時接続であるIoTデバイスを、リモートで制御することも可能です。遠隔地からのON/OFFといった比較的シンプルな活用に関しても、予知保全機能で異常を検知した場合、遠隔制御を組み合わせていれば、即座に修復作業を行い、インフラを保全することも可能です。また、音声を通して管理者へ異常を知らせること、防犯カメラを操作して遠隔地から内部を監視することなど、さまざまな用途が考えられます。
出典:NTTコミュニケーションズ『IoTとは?基本的な仕組みや活用事例を紹介』
IoTデバイスの主な種類と使用用途
スマートメーター
スマートメーターとは、通信機能が搭載されているデジタル式電力メーターのことです。
電力使用量を見える化するスマートメーターは、経済産業省の後押しや電力会社の努力もあり、あらゆる分野で導入が進んでいます。
電力の使用状況を自動検針し、インターネットを介してデジタルデータを収集するため、節電・省エネやコスト削減、業務効率化などを実現できます。
出典:ベイシス『電気を見える化! スマートメーターの特徴・メリット・設置タイミングと方法』
NCU
NCUとは、「Network Control Unit(ネットワーク コントロール ユニット)」の略で、ガスメーターに設置する機器です。ガスの使用量をメーターから読み取り、異常があった場合には電話回線や無線機によって加入者や集中監視センターへ通知します。
無線通信が可能なNCUをガスメーターに内蔵、または外付けすることで、検針データや保安業務に関するさまざまな情報を自動で収集・通知できます。
出典:ベイシス『NCUとは? 基本概要と具体的な活用シーンを紹介』
AIカメラ
AIカメラとは、AIアルゴリズムが搭載されているカメラのことです。
AIカメラに搭載されているアルゴリズムには、主に顔認証、人や物の行動を検知する行動認証、車のナンバープレートを読み取って車の寸法を把握する車番認証などがあります。
AIの最大の特徴は、経験した物事を学習して能力を向上していくという点です。AIカメラにもこの特徴が搭載されていますので、はじめは簡単な識別を繰り返して学習していくことで、将来的には複雑な識別を可能にします。
出典:ベイシス『AIカメラとは? マーケティング活用や今後の展望について』
LoRaWAN
LoRaWANとは、IoT向け無線通信技術であるLPWA(Low Power Wide Area:ロー パワー ワイド エリア)の一つで、LoRa(Long Range)の変調方式を採用した代表的なネットワーク規格のことです。
直訳すると“長距離広域ネットワーク”という意味になります。LPWAはライセンス不要の通信方式とライセンスが必要な通信キャリアを使った無線方式の2種類に分けられますが、LoRaWANはライセンス不要の無線方式で、920MHzの周波数帯域を利用しています。
LoRaWANはLPWAのなかで最もオープンな規格として、世界500社以上のIoT関連企業が加盟する“LoRa Alliance”によって仕様化されました。
消費電力が少なく、安定した長距離通信が可能なLoRaWANは、IoTデバイスのデータ通信に適した規格としてさまざまな場所で普及し始めています。
出典:ベイシス『LoRaWANとは? IoTに欠かせない無線ネットワークの特徴』
ビーコン
ビーコンとは、スマートフォンといった端末に搭載されているBluetooth機能と専用のアプリを利用して位置を特定する技術のことです。
語源である「Beacon」は、もともと「灯台」「狼煙(のろし)」「篝火(かがり火)」といった位置と情報を伝える伝達手段という意味でした。しかし、現在はBluetoothを使った情報収集や発信サービスという意味で使われています。ビーコンは半径数メートル範囲に適用される発信機からの電波を利用しています。
そのため、発信源を施設内に設置すれば、GPSでは電波の届きにくい地下などの場所でも位置情報を取得することが可能です。この特徴を生かし、ビーコンは子どもや高齢者の見守り用の端末、工場内にあるモノの位置管理など多くのシーンで活用されています。
出典:ベイシス『ビーコンとは? 新しい位置情報特定技術のメリットデメリット』
水位センサー
水位センサとは、水位を計測する機器のことです。基本的には危機管理型水位計として使用されているため、水害のリスクがある場所に設置されます。
主な目的は水位の監視と観測で、河川、ダム、工場、、農業用水、そして水処理施設の場所に設置するのが一般的です。
最近では、水位センサをネットワークと接続させ、遠隔監視が行えるIoT水位センサも広がりをみせています。遠隔監視が可能なIoT水位センサなら現場から離れた場所にいても監視と観測が可能です。一定の水位を超えた場合に管理者へ警告を通知することで、水害の早期発見へとつなげます。
ビジネスシーンにおける活用例としては、水位センサをスマートフォンのアプリと連動させ、遠隔で水位を可視化するといった取り組みもあります。
出典:ベイシス『水位センサの特徴と主な活用シーン』
IoTデバイスの市況と予測
国内IoTデバイスの市況としては、労働人口減少や労働規制強化による人手不足の深刻化に伴う物流、建設、医療分野などでのIoTデバイスの導入が進み、拡大傾向にあると言われています。
2023 年から2028 年までの年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は、8.0%となり、2028 年には9兆4,818億円に達すると予測されています。
出典:IDC Japanプレスリリース「物流や建設、医療分野でIoTの導入が進む ~国内IoT市場、産業分野別テクノロジー別予測を発表~」
IoTデバイスの導入目的としては、単純なモニタリングに留まらず、予防・予知保全、データ連携、遠隔制御などのより高度な目的に今後更に変化するとみられます。IoTデバイスの導入は、人手不足の解消や業務効率化、コストカット等に役立ち、その必要性はますます高まっていくと予想されます。
まとめ
今後更に、IoTデバイスを活用してフィジカル空間のリアルタイム情報等を収集し、それらのビックデータを蓄積・活用することで、Society5.0ひいては超スマート社会の実現がより現実的なものになることが予想されます。
超スマート社会の実現後、それを長期間にわたり構築・維持するためには各種IoTデバイスの点検・管理・補修は不可欠となります。
「超スマート社会を支えるIoT機器モニタリングサービスを活用したスマートインフラの構築に興味がある」「コストを抑えてリモートモニタリングを実施したい」とお考えなら、設置から保守まで対応している専門会社に依頼してはいかがでしょうか。
『スマセッチ』は、IoTデバイスの取付け工事から、運用監視までのすべてを一貫して依頼できるスマートインフラ構築プラットフォームです。全国どこでも対応可能なほか、パートナー企業の管理や現場の工程管理をクラウドで行うため、よりスマートな施工管理が可能です。
IoTインフラ構築・モニタリングサービスの導入にご興味がございましたら、スマセッチへお気軽にお問い合わせください。