ビーコンとは? 新しい位置情報特定技術のメリットデメリット
どこへ行くにもスマートフォンを持ち歩くことが当たり前になっている現代において、位置情報をマーケティングに活用する場面が増えています。
この位置情報を活用したソリューションの一つがビーコン(Beacon)です。ビーコンは、スマートフォンに搭載されているBLE(ビーエルイー:Bluetooth Low Energy)※1を利用した新しい位置特定技術で、マーケティングの活用や顧客獲得など、さまざまな場面で広く活用されています。
本記事では、ビーコンの基礎知識やメリットデメリットを解説します。サービスや事業で位置情報を使ったマーケティングを考えている方は、ぜひご参照ください。
※1・・・極低電力で通信ができる技術。Bluetooth(近距離無線通信技術)の拡張仕様
目次[非表示]
- 1.ビーコンとは
- 2.ビーコン活用のメリット
- 2.1.顧客への販売促進とコスト削減
- 2.2.防犯強化や介護サポート活用
- 2.3.作業の効率化や紛失防止
- 3.ビーコン活用のデメリット
- 4.ビーコンの種類
- 5.まとめ
ビーコンとは
ビーコンとは、スマートフォンといった端末に搭載されているBluetooth機能と専用のアプリを利用して位置を特定する技術のことです。
語源である「Beacon」は、もともと「灯台」「狼煙(のろし)」「篝火(かがり火)」といった位置と情報を伝える伝達手段という意味でした。しかし、現在はBluetoothを使った情報収集や発信サービスという意味で使われています。
一方、位置を特定する技術と聞くと、Googleマップをはじめとしたアプリで活用されているGPSを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ビーコンとGPSが違う点は電波の発信源です。GPSが人工衛星から発する電波を利用しているのに対して、ビーコンは半径数メートル範囲に適用される発信機からの電波を利用しています。
そのため、発信源を施設内に設置すれば、GPSでは電波の届きにくい地下などの場所でも位置情報を取得することが可能です。この特徴を生かし、ビーコンは子どもや高齢者の見守り用の端末、工場内にあるモノの位置管理など多くのシーンで活用されています。
ビーコン活用のメリット
ここからは、ビジネスシーンでビーコンを活用するメリットについて解説します。
顧客への販売促進とコスト削減
ビーコンの活用は、顧客の販売促進やコスト削減に役立ちます。実店舗で活用する場合、アプリをダウンロードした顧客にBluetoothを利用してプッシュ通知を送るのが一般的です。プッシュ通知によって店舗のサービス情報や商品がお得に手に入るクーポンなどを配信すれば、顧客への販売促進になります。
また、プッシュ通知はスマートフォンのロック画面にメッセージが表示されるため、顧客に効率よく情報を届けられます。そのうえ、ターゲットを絞った効率的なアプローチが可能になり、広告費といった販促コストの削減も実現できます。
防犯強化や介護サポート活用
ビーコンの大きさは500円玉大から10センチ強ほどで、手のひらに収まるサイズです。そのため、子どもや高齢者などの見守り対象に持たせるだけで防犯や介護にも役立ちます。
たとえば、地域内の子どもが集まる場所に受信スポットを設置し、専用アプリをダウンロードしたスマートフォンやビーコン端末などを持たせておけば、範囲内の子どもの位置情報を把握できます。
さらに、ビーコンの受信範囲外に到達したときにアラートが表示されるなどの設定もできるため、子どもが離れすぎてしまった場合でも安心です。
作業の効率化や紛失防止
ビーコンは、作業負担の軽減やアイテムの紛失防止にも活用できます。
GPSに比べて通信範囲が狭い分、精密に人やモノの位置情報が特定できるという特徴があります。通信範囲内であれば、対象の動きを正確に把握できるため、行動データの分析精度の向上が期待できます。
また、ビーコンと圧力センサーなどを組み合わせれば、実際に足を運ばなくても店頭の在庫確認が可能になります。
さらに、工場や倉庫にビーコンを導入すれば作業の進捗や確認作業の負担が軽減されます。オフィスや重要書類を保管したキャビネットの鍵など、失くしたり社外に持ち出されたりしては困るアイテムに取付けておけば紛失防止に効果的です。
ビーコン活用のデメリット
ビーコンはさまざまなシーンで活用でき、多くのメリットがあります。しかし、その一方でデメリットがあるのも事実です。
ビーコン活用の主なデメリットには以下の2点が挙げられます。
- 電波の障害物が多い環境では位置精度が落ちる
- 顧客のニーズに合わない情報でも発信する
ビーコンの電波帯域は、さまざまな機器が使用している帯域です。出力が低い通信規格のため、反射や干渉などが発生します。金属やコンクリートの壁などの障害物が多い環境では、測位精度が落ちてしまうというデメリットがあります。
また、情報を自動的に発信してしまうという特徴から、顧客ニーズにまったく合わない情報を発信してしまう可能性も否定できません。幅広い顧客層に喜ばれるよう、情報発信の内容にもこだわることが大切です。
ビーコンの種類
ひと口にビーコンといっても、その種類はさまざまです。
▼ビーコンの種類
- ボタン電池型
- キーホルダー型
- 社員証型
- 組み込み型
導入する場合はビーコン端末を設置して、サービスに対応したアプリと管理画面をつなげることでサービスを開始できます。
ただし、設置範囲、それぞれの端末の密度や設置数、場所ごとに適した設置法など、適切な測位環境を構築する専門の知識が求められます。ビーコンを設置する際は、ノウハウを蓄積した専門の開発パートナーとの連携を視野に入れましょう。
まとめ
BLEを活用したビーコンは、販売促進や防犯・介護・作業の効率化など、さまざまな場面で活用されています。
しかし、ビーコンに利用するBLEは電波の干渉が起きやすいため、設置の際には電波の特性を理解し、ビーコン環境を構築する必要があります。
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